「オンラインでコミュニケーションを楽しもう」
ICTと仲良くなろう~使ってみよう。遊んでみよう。
コロナをきっかけに、ICT、オンラインで、等の言葉をよく耳にするようになりましたね。
それ以前から、デジタル教材の開発もすすんでおり、特別支援教育では比較的身近な存在のICT。
しかし、同時に、使いこなせない、対象がわからない、等の声も聞かれます。タブレットもあるけれど、調べ学習やご褒美アイテムの活用が中心で、活かしきれない、という話も聞きました。
そこで。
何の知識もなくても、使いこなせなくても、とにかく使ってみよう。やる中で、だんだん使えるようになればいいじゃないか!と半分勢いのような実践例を報告します。
~準備編~
用意するのは、主に3つ。
①デバイス(タブレットやPC)必要台数。
②教室等の空間が複数(同じ部屋の中で2台つなげると、お互いの音を拾いあい不協和音が鳴り響いてしまいます)。
③Wi-Fi環境。
④オンラインでつながれるアプリケーション(ここではZoom(WEB会議システム)を使います)。
⑤教材など(最後に書いてますが大事ですよ)。
始める前に、デバイスにインストールしておきます。無料版と有料版がありますが、無料版で十分です。
※Zoomには、ホワイトボード機能やチャット等のたくさんの便利機能があります。
が、しかし!とりあえず使いません。なぜなら、低年齢の子たちには使いこなせないからです。
使う側の私たちも、とりあえず使えなくて大丈夫。
※無料版Zoomは3人以上の参加だと“40分”という制限があります。なので、内容は30分程度で組み立てます。
オンラインでのやりとりは、実際に対面してのやりとりよりも、神経を集中する必要もあるため、これくらいがちょうどよいなという印象です。
ちょうど1単位時間くらいですね。
~実践編~
いよいよ。実践です。
目的は、オンライン上でコミュニケーションを図ること。それを楽しむこと。
対人関係、コミュニケーションの力を育むこと・・・これって『自立』っぽくないですか?
① 時間に入室したら、まずは挨拶。「こんにちはー!」←先生だけでも元気よく!!
② みんな揃ったら(3~4人がちょうどよい)、名前呼び、出席を取ります。
幼児さん→子どものマークや写真を見せながら呼び、用意しておいたホワイトボード(本物を後ろに用意しておく)に貼る。
※Zoomのホワイトボード機能は使いません。
小学生→名前カードなどを同じように見せながら呼び、ホワイトボードに貼るのもよいかもしれませんね。
先生と1対1の場合は、普通に呼ぶだけでもよいかも。
絵が得意であれば、その都度、ササっと似顔絵を描きながら呼んでも楽しい。
ホワイトボードでの見せ方は工夫と配慮を!
*******ワンポイント*******
先生が画面の向こうでしている動きが魅力的であれば、結構集中して見てくれます。
オンラインは、視覚と聴覚をフルに使いますが、情報量は圧倒的に少ないです。
だからこそ、画面を通して伝わる最大限のパフォーマンスを見せてあげたいものです。
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③ メインの活動です。やりとり遊びが中心。
<幼児~小学校低学年向け>
「にらめっこ」
「おーちたおちた」
「かみなりどんがやってきた」
この3つは絵本もあるので、絵本を読んでから実際に遊ぶ、というのもよいですよね。
※ただし、絵本をオンライン上で使用するには著作権使用許可の申請が必要です。
現在、オンライン上での絵本の取り扱いは使用上のルールが定まっていないため、許可がおりない場合も多々あります。
使用する際には、各出版社に必ずお問い合わせください。
一番リクエストが入るのはダントツで「にらめっこ」。単純だけど、面白い。
非対面になることで恥じらいも少なくなるようで、思い切り変顔ができますよ!お互いの顔を見て、ゲラゲラ笑って楽しめます。
「にらめっこ」は、通常”♪わ~らう~とま~けよ~”ですが、
「わらうとかちよ。あっぷっぷ!わはははは!」 笑うが勝ち!(笑)
「歯を見せたら、まけよ」
「まばたきしたら、まけよ」
など、バリエーションは結構広がります。どこまでも頭を柔らかく柔らかく。
ほかにも・・・
「だるまさんがころんだ」
お互いパソコンで画面が大きく、かつ空間が広ければ、やってみたい遊びです。
「新聞折々じゃんけんゲーム」
ご存じ、じゃんけんに負けるごとに新聞を折りたたむゲーム。新聞から落ちた人の負け!
「クイズ大会」
もう内容はおまかせ。言葉だけでも、写真や絵を使っても。答えが選択式でも、ホワイトボードに書くのでも。
<小学生以上向け>
一人の先生や子が、何ができるかは内緒にして、必要な材料や作り方を口頭のみで説明して、他の子(先生)が言われた通りに作る。例えば、七夕飾りや折り紙等、画面を通して説明してもらい、他のクラスの子が作る、等。質問も可。どんどんやりとりして楽しめたらよいですね。
<番外編>
テレビでやっていた、「実物調達しりとり」
しりとりだけど、答えるにはその実物も調達してこないといけない、というもの。言葉は思いついても実物がなければ答えられない・・・。ハラハラドキドキしりとり遊び、という感じでした。これもやってみたいなと思います。語彙、言葉も意識しそうですね。
④ しめくくり
最後に楽しくさよならするのに、にらめっこの変顔で「バイバ~イ!またねー!」とすることが多いかなと思います。このあたりは年齢によってさまざま。
大事なのは、“次回”があること。1回だけの特別な時間で終わらせず、定期的に遊ぶ、コミュニケーションを楽しむ道具として親しむことが大事なのではと思います。
~まとめ~
いかがでしたが?
実は、普段当たり前にやっている遊びや取り組みを、そのまま(画面の大きさにアレンジはしますが)するだけ。難しい機能を使いこなす必要もほとんどありません。
ICTと慣れ親しむには十分かと思います。
オンライン特有のタイムラグも、慣れてくれば相手の反応や声をしっかり見よう(聞こう)とするための強みとして活かせるかもしれません。
実際にやってみて感じていることは、対人緊張がどちらかというと強いこの子らにとって、画面を通しての対面は、かなり緊張が和らぐのではないかということ。いつもよりリラックスした表情でコミュニケーションを楽しむ姿を多く見ます。画面を通してでもよいから、人とかかわること、コミュニケーションを図ることが楽しい、心地よいと実感し、広がっていくツールになればよいと考えています。
ここで紹介したのは、ごく一例です。目の前のいる子どもたちだったら、どんな遊び(活動)なら興味を持ってくれるだろうか、楽しめるだろうか、どんどんアレンジ、カスタマイズして、まずは一緒にコミュニケーションを楽しんでください。その先で、さまざまな機能を子どもたちのニーズに合わせて使いこなし、本当の意味でICTを活用していけたらよいのではないでしょうか。